放射性物質に関する輪講 (Rinko about radioactive materials)

RINKO is a class, designed and organized by students.

In this semester, we had RINKO about radioactive materials in Japanese.

 

こんにちは、日置です。

 

今学期は、都市工学科環境コースの院生が集まって、放射性物質についての輪講を開催しました。

輪講とは、学生主体で行う授業のことで、テーマの設定から授業の進め方の決定、発表、質疑応答まで全て学生によって行われます。

 

今後の参考になるかもしれないので、今回の輪講の情報を記録しておきます。

 

以下の表が、輪講で扱ったテーマの概要です。

放射性物質原子力に関して各自が気になっている内容を持ち寄り、各回2人ずつが発表しました。

ただ参加者全員が放射線については素人なので、前半の5回分は基礎知識の勉強にあてました。

 

担当者*1

発表内容

主要参考文献

1

LTHK

輪講の進め方

放射性物質放射線

原子力原子力発電所事故

田崎,2012,やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識,朝日出版社 など

2

NS・NH

放射線被曝と健康への影響

3

YM・SK

放射線被曝と健康への影響

4

KR・KT

放射性セシウムによる地面の汚染

5

SKTT

放射性セシウムによる食品の汚染

6

HKKR

除染事業の課題・除染目標値

原発事故の世論への影響

中西,2014,原発事故と放射線のリスク学

北田,2013,日本原子力学会和文論文誌

7

LT・YM

被曝恐怖の偏見解消教育

きのこと放射性セシウム

有光,2014,駒澤大学心理学論集

斎藤ら,2012,化学と生物

ホクト株式会社ウェブサイト

8

SK・NH

放射性物質汚染に対する危険性認識

放射線が人に与える影響

中村ら,2013,商学論集

新山,2012,農林業問題研究

9

KT・NS

原発再稼働の問題

ヨウ素131の環境・健康影響評価

山口,2013,調査と情報

伊坪ら,2013,J. LCA Japan

10

TTSK

原子力に関する法令

海洋・海産物の放射能汚染と調理による除染

青山,2013,YAKUGAKU ZASSHI

古川ら,2013,日本水産学会誌

鍋師ら,2013,食品衛生学雑誌

11

SK・NH

放射性物質の食品への移行・蓄積

被曝甲状腺がん

笠松,1999,RADIOISOTOPES

橋本ら,2011,RADIOISOTOPES

12

LS・YM

都市河川・湖沼における放射性セシウムの動態

放射性廃棄物の処理・管理

二瓶ら,2013,土木学会論文集B1

西郷ら,2010,社会技術研究論文集

13

SKNS

輪講のまとめ

これからの福島

原子力放射能に関する課題

東ら,2013,福島第一原発観光地化計画

 

 上の表を見ても分かるように、扱った内容は放射性物質の健康影響や環境動態から、リスクコミュニケーション、原子力発電、放射性廃棄物、政策、行政など多岐にわたりました。

始めに想定していたよりも、幅広い内容が取り上げられたので、非常に面白かったです。

 

一方で、一つ一つの内容の掘り下げは浅かったかもしれません。

(例えば、いくつかの論文やネットの情報をまとめて発表する人が多かったけれど、一つの論文を精読する発表がもう少しあっても良かったと思います。)*2

その点に関しては、輪講の言い出しっぺの僕が、一つのことを掘り下げる発表をしなかった責任もあるな、と反省してます。

 

とは言え、全体的には面白かったし、一人だけだと勉強しないようなこともあったので、輪講をやって良かったと思います。

 

追記1) 2007年までの輪講の資料が、ウェブ上に残ってるのを見つけました。勝手にリンクを貼らせてもらいます。

追記2) 来学期も輪講をやるなら ①リスクコミュニケーション ②システム生物学 ③数理生物学(例えば巌佐庸先生の教科書) あたりを僕はやりたいです。誰か興味のある人がいたら、ぜひ一緒にやりましょう。上記以外でももちろん良いです。

*1:苗字・名前のイニシャル表記。下線はM2、太字は博士以上、その他はM1。

*2:論文や報道の結論、主張がどのようにして導き出されたのか、その過程や根拠を批判的に見る発表が少なかったと感じました。