活性汚泥の飼育

こんにちは、日置です。

学部生の実験演習に使用するために、活性汚泥を飼育(馴致?)してました~。今回はその飼育記録です!

This article is about culturing activated sludge. 

 

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▲実験室での活性汚泥の飼育風景 

 

(汚泥のアップ写真があるので閲覧注意?)

 

●活性汚泥とは? Activated sludge ?

活性汚泥は原生生物・細菌を含む生物群です。下水処理場などで使用されてます。活性汚泥の中の微生物が、汚水や雨水の有機物を分解してくれているのですね。

都市工学科の環境コースでは、その活性汚泥を用いて生物学的な水処理方法を学ぶ演習をおこなっています。今回は、その演習のために実験室で飼育していた活性汚泥の紹介をしたいと思います。

 

 

●汚泥の採取  Sampling of sludge

近くの水再生センターにお願いして、20 Lの返送汚泥を譲っていただきました。タンクに入れて大学の実験室まで持ち帰りました。

Return sludge of 20 L was collected from a wastewater treatment plant. 

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●汚泥の飼育~基質  Culturing sludge

先ほども書いたように、汚泥は多数の原生生物や細菌が共存する「生き物」です。ですから飼育するためには、餌をあげなければなりません。

無機と有機の基質(餌)を与えていましたが(下表)、有機物は「グルコース」のみを与えるグループと「酢酸」のみを与えるグループ、そして「活性汚泥エキス*1」のみを与えるグループの3つに分けました(この理由は後ほど説明します)。

Inorganic and organic substrate were fed daily.

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無機基質は5 Lの汚泥に対して50 mL×2回/日を与えました。有機基質はBOD/SS負荷がだいたい0.2-0.4 kg/kg/日になるように、汚泥のMLSS濃度に応じて基質添加量を調整しました。

 

 

 

●汚泥の飼育~曝気  Aeration

餌だけでなく、ポンプでの曝気もおこなっていました(一番上の写真)。演習で対象にする「活性汚泥」は、好気性の生物群がメインだからですね。

Activated sludge was continuously aerated. 

 

 

●汚泥の変化  

もともとが同じ汚泥であっても異なる餌を与えていれば、汚泥中の生物群の構成は互いに異なり始めます。

Microbial structure in activated sludge was clearly different depending on its substrate. 

 

例えば下の写真。左は「活性汚泥エキス」のみを4日間与えた汚泥、右は「グルコース」のみを4日間与えた汚泥です。両者とも1Lのメスシリンダーに入れてから1時間ほど静置した後の写真です。まず色などの見た目が全然違います。そして沈降性(沈みやすさ)も大きく異なることが、メスシリンダーの深さから分かります*2

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K. HIKI

*1:返送汚泥をオートクレーブした時のエキス。過去にオートクレーブにぶちまけてしまったのはこれ。

*2:SVIは263 mL/gと210 mL/g。ずいぶん大きい…。