SETAC North America Annual Meeting @Orlando

こんにちは、澤野井です 日置です。

先日Florida州のOrlandoで開かれたSETAC North America Annual Meeting(11/6~10)に参加してきました。開催中に大統領選投票日があり、興奮しましたね。現地では当確が夜中だったので、寝不足になりました…。

 

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 ▲Students of SETACのfacebook pageより

 

●SETACとは

SETACは「Soceity of Environmental Toxcology and Chemistry」の略です。学会誌としてETCIEAMを発行している団体ですね。北米・ヨーロッパ・アジア・ラテンアメリカ・アフリカの各地域で、ほぼ毎年研究会を開催してます。

SETAC is the society of environmental toxicoogy and chemistry. SETAC publishes two scientific journals: ET&C and IEAM

 

 

●年会の規模

今回の北米大会は、事前情報によると参加人数2,284人で、発表数はポスター・口頭併せて2,067個だったそうです。口頭発表は同時に12の部屋でおこなわれていました。いや~規模が大きくて、単純に楽しかったですね。生態毒性の研究している人がこれほどいるのか、と素朴に感動しました。

There were 2,284 registrants and 2,067 presentations. Twelve oral presentations were held in parallel. 

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 ▲Meeting program, 12 sessions in parallel
 
 

●年会のようす

朝から昼過ぎまで好きな口頭発表を聞いて、夕方は基調講演、休憩時間はポスター回る、が基本的なスケジュールです。夜は基本なんらかのパーティーがありました。冒頭の写真も、参加学生を対象にしたディナー企画です。自分は学生ではないけど、紛れ込んでました。投票日の前日だったためか、大統領選の話になっても全然盛り上がらなかったです。

We usually listen to oral presentations in the morning, and listen to keynote lectures in the evening. And in the almost every night, we have a party (as shown in the picture)! 

 

ちなみに会場はRosen Single Creek Hotelというところ。宿泊ホテルとつながっていました。おかげで、学会中ほとんどこのホテルから出ないで過ごせてしまった…。

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 ▲Rosen Single Creek Hotel 
 

 

●面白かった発表

自分はomics解析と底質毒性に関する発表を、主に聞いて回りました。中でも面白かったものや感じたことを以下に書いてみます。

  • Florida大学のNancy Denslow教授のOpening ceremony。彼女らの論文はいくつか読んだことがありましたが、実物を見たのは初めてでした。穏やかな語り口で、良い先生そう。どういうストーリーで研究を進めてきたかが理解できて面白かったです。
  •  全ての化学物質・生物種を試すのは無理だから、既知の物質・生物種から他のものを類推しよう、あるいは知見を体系化しようという趣旨の発表が非常に多かったです。下のAOPもそういう流れですよね。
  • AOP(Adverse Outcome Pathway)関係の発表。目立っていたのはやはりAnkelyやVilleneuveなどUSEPAのグループでしょうか(発表70, 310など)。AOP関連の発表は、ざっくり言うと「特定のpathwayに関して遺伝子発現や代謝物などを詳細に解析したもの(知見収集)」と「AOPの応用」の2種類でした。既に160のpathwayが検討されているなど知見の収集は進んでいるなぁと思う一方、実際どう応用するかはまだ絵を描いている段階だという印象でした。
  • ある未知の化学物質がどのAOPに分類されるかを知る方法は2つ(発表409)。1つはToxCastのようなhigh-throughputなbioassay。もう1つはQSARなど物質の構造から推測する方法。
  • ToxCastのような大規模なデータ収集がいくつかおこなわれていて、またそれらをベースにした研究発表が複数されていて、正直同じアプローチでは敵わんなと痛感しました。
  • 系統学的に類似な生物同士は、有害物質に対する感受性も近いのではないかという話(発表131, 132など)。今回の年会で一番興奮した発表だったかもしれません。
  • 上に書いた種間外挿やAOPの発表に比べると、底質汚染関連は勢いがなかったかも。ユスリカやHyalella aztecaの試験法についての発表があったり、Bob SantoreさんがSediment BLM(Biotic Ligand Model)をmixtureに適用した話をしてました(発表373)。
  • Web上で様々なデータベースやツールが作成されてました。Comparative toxicogenomics database、SeqAPASS、Web-ICEなど。底質汚染に関しては、スパイク毒性試験に限定したデータべースのSpiked sediment databaseが出来たということです。嬉しい反面、敗北感…。

 

 

●その他

SETACに初めて参加する学生や若手に、案内役の中堅・ベテランを紹介するBuddy Systemに登録してみました。研究が近い人を紹介してくれるそうです。自分は、底質汚染の研究に長年携わっているUSGSのJeffery Steevensを紹介してもらいました。とても親切で、いろいろ教えてくれました。冒頭の写真のStudent mentor dinnerに行くよう勧めてくれたのも彼です。Buddy system おススメです!人脈を作る一歩として、良いと思います。

口頭発表の一部は録音されているので、後日Webで聞けるはずです。前回のSalt Lakeの発表はここで聞けますね。 

 

 

自分の写真を撮るの忘れてました。

K. HIKI