2015年夏学期の輪講:統計モデリング入門

こんちは、日置です。

今学期の輪講は「データ解析のための統計モデリング入門」(久保拓弥)を教科書にして、一般化線形モデルなどについて勉強しました。

We had RINKO, a class organized by students, about "statistical modelling" in this semester using the following textbook. 

 

●内容 Contents

有名な教科書なので、検索すれば内容はだいたい分かると思います。ざっくり書くと、「データ・現象をどのようなモデル(=数式)で説明できるか/すべきか」をテーマにした本です。具体的には最尤法一般化線形モデル(GLM; Generalized Linear Model)、階層ベイズモデルなどが登場します。実際の計算は無料の統計ソフトRを用いておこないました。

 

 

輪講のスケジュール Schedule

全部で13回の講義をおこないました。

初回は輪講内容・進め方のガイダンスとRの使い方説明に充てました。2回目から11回目までは、教科書の2章~11章を各自1章ずつ読んできて紹介しました。12回目は文献紹介などの補足発表で、13回目は打ち上げでした。

参考までに初回講義のRの使い方と、12回目の文献紹介(p値について)で使用したスライドをアップロードしておきます。どちらも輪講のメイン内容ではないですが…。輪講の雰囲気が伝われば幸いです。  

 

 

●感想 impression

評判通りの面白く分かりやすい教科書。*1データをモデルにあてはめた経験は、自分はぶっちゃけ最小二乗法による線形回帰ぐらいでした。そんな自分でも、非常に分かりやすくGLM・GLMM・階層ベイズなどを学べました。

ただ詳細は深入りせずに概念の理解をしやすいように書かれてるので、ぼーっと聞いてても「なんとなく分かった気になる」だけかもしれません*2。いざ自分でやろうという時には、もう一度勉強し直さないといけないような…。まあモデリングに関する一通りの概念地図みたいなものが頭に描けただけでも、大きな収穫でしょう。

 

 

●これまでの輪講

ちなみにこれまでの輪講では、数理生態学(2014年冬)や放射性物質(2014年夏)をテーマにしてました。2007年以前の輪講で扱ったテーマは、ここに記録が残っています。

The themes of the previous RINKO were, for example, "mathematical ecology" and "radioactive materials". 

 

K. HIKI

*1:インターネット上の補足も充実しています。著者の久保先生のHPはこちら

*2:ベイズはいまだに「???」ですが。

Our paper was accepted (WST, 2015)

このブログでもお馴染みのニホンドロソコエビを用いて道路塵埃(路面上に堆積しているチリやホコリ)の毒性を調べた論文が、Water Science and Technology誌に受理されました!!わーい。

Kyoshiro Hiki and Fumiyuki Nakajima: Effect of salinity on the toxicity of road dust in an estuarine amphipod Grandidierella japonica, Water Science and Technology, accepted. (→Link)

 

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●論文の概要

この論文は、道路塵埃の有害性をバイオアッセイ(生物応答を指標とする試験)によって調べた研究です。「底生生物に対する道路塵埃の致死毒性が塩分によって増加した」ことを明らかにした初めての論文です(下図)。

正直な話突っ込みどころもかなりありますが…、塩分と道路塵埃の毒性を結び付けた視点は新しいんじゃないかと自負しています。

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Rejectされた雑誌用に作ったgraphical abstract

  

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▲道路塵埃 road dust(左)と 道路塵埃の曝露試験(右)

 

●Short abstract 

Increasing salinity from 5‰ to 35‰ resulted in high mortality of the estuarine amphipod for the three road dust tested. This finding suggests that the salinity level in receiving waters is an important factor on road runoff toxicity. 

川から泥を採ってきたよ!

こんにちは、日置です。

昨日6/15は、底質汚染の調査のために都内の河川へサンプリングに行ってきました。

Yesterday we went to rivers in order to take sediment samples. 

 

 

●サンプリングのようす

橋の上から小さな採泥器(van veen grab)を用いて泥を採取しました。

Sediment sampling was conducted as shown in the  picture below. 

 

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 ▲橋の上から底質を採取しています

 

当初予定した橋では川底に泥がたまっておらず、 泥を探して橋をいくつか巡らないといけませんでした。良い天気だったので、ちょっとしたピクニック気分でした。アイスもご馳走して頂きました~。ありがとうございます。

We traveled around from bridges to bridges. It's like a picnic.

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 ▲採取した底泥

 

 

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▲次回は魚釣りも一緒にやるかも?

K.HIKI

山本研 歓送迎会

お久しぶりです、M2になった柳原です。

先日の歓送迎会の模様を紹介します。

(写真を撮り損ねたので文章がメインです…)

 

●ようこそ山本研へ

学部生2名が、卒論生として配属されました。

また、UEHASプログラムの留学生が約2か月滞在されます。

これからよろしくお願いします♪

 

●受賞おめでとうございます

山本先生が廃棄物資源循環学会で大賞を受賞されました。

おめでとうございます!

 

●今までお世話になりました

本研究室などで秘書を務めていた鈴木さんが退職されました。

長い間お世話になりました。

またの機会にお会いできるのを楽しみにしています。

 

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ICP-MSのお掃除をしました

こんにちは。研究室ブログの主、日置です。誰か更新しよう!

今月の頭に、ICP-MS(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry)のメンテナンスをしました。ICP-MSは他の研究室と共同で、重金属分析などに利用してます。

At the beginning of this month, we had maintenance of ICP-MS

 

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●掃除 Cleaning

ICP-MSマスター倉鍵君の指揮で、主にICP部とインターフェイスの掃除をしました。インターフェイスコーンの汚れは相当で、新品と比べるとその酷さが分かります…。数年間は掃除も交換もされていなかったみたいです。

We cleaned mainly ICP-part and interface. ICP corn was havily polluted as shown in the picture below. 

 

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左:新品のコーン,右: 使用していたコーン

 

実験機器のメンテナンスは大事ですが、こうやって皆でやらないと中々やらないもんですねー。

 

K. HIKI

Oskar Modin先生がいらっしゃいました

先日、本研究室の卒業生のOskar Modin先生がいらっしゃいました。Oskar先生は本研究室で博士号を取得され、現在はスウェーデンのChalmers大学で准教授をされています。

Dr. Oskar Modin visited our department. Dr. Oskar completed his Ph.D in 2008 at our laboratory.  

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Oskar先生は、微生物燃料電池(Microbial Fuel Cells: MFC)や微生物電解セル(Microbial Electrolysis Cells: MEC)についての研究紹介をして下さいました。 

Dr. Oskar gave us a lectue entitled "New applications of microbial electrochemistry". 

 

夜は、Oskar先生と奥さんとお子さんもご一緒されての飲み会でした~。

 

K. HIKI

今学期(2015夏)も研究室ミーティングやります

こんにちは、日置です。

今学期も本研究室では、所属メンバーが集まってのミーティングをだいたい隔週でおこないます。(前学期2014冬のミーティングに関してはこちら参照。)

In this semester, Lab Meeting will be held to share the knowledge of each student/researcher. All students and researchers in our laboratory are expected to attend this meeting.

 

 

●スケジュール Schedule

今学期は前学期からのメンバー変化があまりないので、進捗報告はやめて論文紹介だけを実施します。

In this semester, we don't have presentation on research progress. I would like all presenters to introduce a scientific paper. The schedule is shown in the following table.

 

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●おまけ:関連のありそうな学術

論文を選ぶ材料の一つに、何の雑誌 journal に論文が載っているか、があります。もちろん雑誌が有名だからといって良い論文とは限らないし、有名でない雑誌だからといって良い論文がないとは言えません。

なのであくまで参考としてですが、本研究室の研究領域をカバーしている学術誌には下のようなものがあります。昔興味本位で作ってみた表です。雑誌の影響度を示す指標であるインパクトファクターと一緒に示します。というか、僕の研究対象である生態毒性・水環境汚染に関する学術誌です。本研究室で扱っている水処理・微生物関連の雑誌は詳しくないので…。 

 

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※赤字は生態毒性関連の学術

 

●追記 (2015.07.25)

ミーティングで紹介された論文は下記のものです。下のリストを見れば、今の本研究室がどのようなことに興味を持っているか、おおよそ分かるかもしれません。

Papers reviewed in this meeting was following:

  • Hasenbein M. et al., 2014, Transcriptomic profiling permits the identification of pollutant sources and effects in ambient water samples, Sci. Total Environ., 468-469, 688-698. 
  • Kemble N.E., 1999, Tolerance of freshwater test organisms to formulated sediments for use as control materials in whole-sediment toxicity tests, ETC, 18(2), 222-230. 
  • Maity S. et al., 2013, Elucidating causes of Diporeia decline in the Great Lakes via metabolomics: Physiological responses after exposure to different stressors, Physiol. Biochem. Zool., 86(2), 213-223.
  • Sison-MAngus M.P. et al., 2015, Water fleas require microbiota for survival, growth and reproduction, ISME J, 9, 59-67.
  • Lou T. and Xie H., 2006, Photochemical alteration of the molecular weight of dissolved organic matter, 2006, Chemosphere, 65, 2333-2342. 
  • Scott C.P. et al., 2009, The effect of genetic and environmental variation on metabolic gene expression, Mol. Ecol., 18, 2832-2843. 
  • Pane E.F., Smith C., McGeer J.C. and Wood C.M., 2003, Mechanisms of acute and chronic waterborne nickel toxicity in the freshwater cladoceran, Daphnia magna, Environmen. Sci. Technol., 37(19), 4382-4389.
  • Li X.Y. and Chu H.P., 2003, Membrane bioreactor for the drinking water treatment of polluted surface water supplies, Water Res., 37(19), 4781-4791.
  • Leonard J.A., Cope W.G., Barnhart M.C. and Bringolf R.B., 2014, Metabolomic, behavioral, and reproductive effects of the synthetic estrogen 17 α-ethinylestradiol on the unionid mussel Lampsilis fasciola, Aquatic Toxicol., 150, 103-116.
  • Yang R. and Van Den Berg C.M., 2009, Metal complexation by humic substances in seawater, Environ. Sci. Technol., 43(19), 7192-7197.

 

K. HIKI