ヨコエビの飼い方 part 1
こんにちは、日置です。
当研究室では、ニホンドロソコエビ(学名:Grandidierella japonica)というヨコエビを飼育しています(関連記事は→こちら)。今回は、ニホンドロソコエビの飼育方法・飼い方について紹介します。
I introduce the procedure of keeping aquarium for an amphipod, Grandidierella japonica, in our laboratory.
▲亜成体のニホンドロソコエビ(Grandidierella japonica)
●きちんとした飼育が大切!
ヨコエビを飼育している目的は、「彼らの応答を指標として、有害物質が生態系に与える影響を評価すること」です。なので、ヨコエビの生理生態自体が研究対象という訳ではありません。
Our objective is to evaluate the effect of pollutants on ecosystem using the amphipod, not to study the amphipod itself.
とはいっても、ヨコエビの飼育が上手く行かなければそもそも何も始められませんので、飼育方法・飼育環境は常に注意を払わなければならない点でもあります。(手を抜きがちな点でもありますが・・・。)実際、学会等で環境生態毒性を研究されている方とお会いした時、試験生物の飼育法(コツとか?)は結構盛り上がる話題です。
However, keeping the amphiod healthy is the most basic requirements for our research. How should we keep aquariums for test species? That's a great concern to many ecotoxicology researchers, I think.
▲ヨコエビの飼育槽
●ヨコエビはどこから採ってきたのか?
飼育しているニホンドロソコエビは、先輩方が千葉県の三番瀬干潟から採取して下さったものです。研究室の水槽で、ヨコエビ何世代にも渡って飼育しています。
The amphipods used in our laboratory were collected from a tidal flat in Chiba, Japan.
●飼育槽に何を入れる?-その①:海水-
飼育しているニホンドロソコエビは海域・汽水域に棲むヨコエビです。そのため、飼育槽には海水または汽水を入れなければなりません。(ヨコエビには淡水産の種もたくさんいます。)
Grandidierella japonica is the marine and estuarine species, thus seawater was added to culturing aquariums.
海水を入手する方法は、「人工海水の素」のような製品から作る、近くの海から採取するなどがありますが*1、本研究室ではUSEPA(米国環境保護庁)の定めた作成法に従って、塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどから人工海水を作成しています。
We use artificial seawater including nine kinds of compounds such as NaCl and MgCl2.
▲海水を貯めているタンク
●飼育槽に何を入れる?-その②:底質-
ニホンドロソコエビは底質に穴を掘って、その中で生活します。そのため、飼育槽には、河川から採取した底質をふるいにかけてから入れています*2。底質は砂っぽいものよりは、泥っぽい有機含量の多いものの方が繁殖しやすいみたいです。
Field sediment has been added to culturing aquariums, becuase G. japonica buries in the sediment. They prefer fine sediment to coarse one.
下の写真でたくさん空いている小さな穴が、ヨコエビの巣穴?です。夜になると、穴から出てきて泳ぎ回る姿も確認できます。
The picture below is amphipods' tubes in the sediment. They swim out of tubes at night.
▲底質に見られる穴(左)と底質採取のようす(右)
続く・・・(→こちら)
to be continued... (→Part 2)
K. HIKI